
やさしい UNIX & Linux | 第16回
黒い画面の前に立った日|VPS・Linuxを安心して使い始めるために
VPS に初めてログインしたとき、
黒い画面に点滅するカーソルを見て、少し緊張した人も多いかもしれません。
「つながった。でも、このまま使って大丈夫なのかな?」
その感覚は、とても自然です。
VPS や Linux サーバーは、インターネットの向こうで常に動き続けているコンピューターだからです。
この記事では、
VPS/Linux を 安全に、安心して長く使い続けるための基本設定 を、
物語のように、やさしく整理していきます。
VPS は「ずっと入口がある家」
自分のパソコンは、使わないときは電源を切ります。
でも VPS は、24時間ずっと動いています。
つまり、
外から見える入口が、常に存在している状態 です。
だから最初に整えるべきなのは、
サーバーの機能ではなく、守りの設定でした。
root ログインは、最初だけにする
VPS を契約すると、最初は root ユーザーでログインします。
root は、Linux で最も強い権限を持つ管理者です。
何でもできる反面、操作ミスの影響もとても大きい という特徴があります。
そのため、
- 新しい一般ユーザーを作成する
- 普段の作業は、そのユーザーで行う
これが、Linux では基本的な考え方です。
「強い鍵は、必要なときだけ使う」
それが、安全に使い続ける第一歩になります。
SSH 鍵認証で、ログインを安全にする
VPS への接続には、SSH が使われます。
初期状態では、パスワードログインが許可されていることが多いです。
しかし、パスワードだけの認証は、
総当たり攻撃の対象になりやすいという弱点があります。
そこで使われるのが、SSH 鍵認証です。
- 鍵を持っている人だけがログインできる
- パスワードログインを無効にできる
この設定を行うだけで、
サーバーへの不要なアクセスは大きく減ります。
ファイアウォールで、必要な通信だけを許可する
Linux サーバーには、さまざまな通信口(ポート)があります。
ですが、最初から必要なのは、ほとんどの場合 SSH だけです。
ファイアウォールを使って、
- 使う通信だけ許可する
- 使わない通信は閉じる
という状態にしておくと、
外部からの攻撃を受けにくくなります。
これは、
「使っていないドアは閉めておく」という、ごく自然な考え方です。
Linux の更新は「後回しにしない」
更新と聞くと、不安になる人もいるかもしれません。
ですが、Linux のアップデートは、
- 不具合の修正
- セキュリティ上の弱点の修正
を目的として行われます。
定期的に更新することは、
サーバーを安全な状態に保つための習慣です。
ログを残すことで、安心して運用できる
Linux サーバーでは、操作やアクセスの記録がログとして残ります。
ログがあることで、
- 何が起きたのかを後から確認できる
- トラブル時に原因を特定しやすい
というメリットがあります。
「何か起きても、振り返れる」
それだけで、サーバー運用の不安はぐっと減ります。
バックアップは「失敗しても戻れる保険」
設定ファイルやデータは、
思いがけない操作で壊れてしまうことがあります。
だからこそ、
- 大切なデータを定期的にバックアップする
- 別の場所に保存しておく
この準備が欠かせません。
バックアップがあるだけで、
VPS は 安心して試せる場所 になります。
安全な設定は、自由に学ぶための土台
設定を終えたサーバーは、見た目には何も変わりません。
でもその裏側では、
- 入口が整理され
- 不要な通信が閉じられ
- 失敗しても戻れる仕組み
が、静かに整っています。
安全に、安心して使い続けるための基本設定。
それは、制限ではなく、
これから Linux を学び、試し、育てていくための土台です。
次は、この土台の上で、
サービスを動かしたり、公開したりする話へ進んでいきましょう。
次回への小さな予告
次回は、
VPSと自分をつないでいる通路、
SSH という仕組みを、やさしく見ていきます。
黒い画面の向こう側が少し分かると、
Linux は、ぐっと身近な存在になります。
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