第5回|「オープンソース」という考え方

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第5回|「オープンソース」という考え方

やさしい UNIX & Linux | 第5回

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仕組みの奥にあった、もうひとつの物語

カフェの奥にある、少し静かな部屋。
前回までで、私たちは UNIX や Linux が生まれた場所や、そこに関わった人たちの話を見てきました。

今回、この部屋で向き合うのは、
コマンドでも、仕組みでもありません。

「オープンソース」という、考え方そのものです。

少し難しそうな言葉に聞こえるかもしれません。
けれど実は、とても人間らしく、あたたかい発想でした。

ソースコードは「隠すもの」だった時代

今では当たり前のように使っているソフトウェア。
しかし、昔はまったく違う考え方が主流でした。

プログラムは会社の財産で、
その中身――ソースコードは、見せないもの。

使う人は、完成した道具を渡されるだけ。
壊れても、直すことはできません。

  • 「中身は触らないでください」

そんな世界が、長い間続いていました。

研究室では、自然に“共有”が行われていた

ところが、大学や研究所では、少し違う空気が流れていました。

プログラムを書いている研究者たちは、
困ると、自然にコードを見せ合います。

  • 「ここ、もう少し良くできそうだね」
  • 「じゃあ、直してみるよ」

改善されたコードは、また元に戻され、
次の誰かの手に渡っていきます。

そこに「これは誰のものか」という境界線は、あまりありませんでした。

早く、うまく動くこと。
みんなの研究が前に進むこと。

それが、いちばん大切だったのです。

オープンソースは、
最初から立派な理念として生まれたわけではありません。

現場の自然な習慣として、静かに存在していました。

「自由に使っていい」が、世界を広げた

やがて、この習慣は一つの考え方として言葉になります。

それが、オープンソースです。

  • 中身を見ていい
  • 直していい
  • 配っていい

ここで大切なのは、「無料」という点ではありません。

本当に大事だったのは、
自由(Freedom)でした。

  • 誰かが作ったものを理解し
  • 自分なりに手を加え
  • また次の人へ渡す

その小さな循環が、
思いもよらない広がりを生み始めます。

リチャード・ストールマンと「自由」の宣言

1980年代。
この考え方を、はっきりとした言葉で示した人物がいます。

リチャード・ストールマンです。

彼は、
プログラムは、使う人の自由を奪ってはいけない
と考えました。

  • 自由に学び
  • 自由に直し
  • 自由に共有できること

それを守るために始まったのが、GNU プロジェクトでした。

難しい理屈ではありません。
とてもまっすぐで、誠実な約束だったのです。

みんなで作るから、ひとりでは届かない場所へ行けた

オープンソースの世界では、
さまざまな人が関わります。

  • バグを見つける人
  • 機能を追加する人
  • 説明を書く人

全員が、同じ目的を持っているわけではありません。

それでも、
少しずつの手助けが重なっていきます。

競争ではなく、協力。
声高な主張ではなく、静かな積み重ね。

その結果、
一人では決して作れなかったものが、形になっていきました。

Linux は、この考え方の上に生まれた

Linux が広がった理由も、ここにあります。

リーナス・トーバルズは、
Linux を「完成品」として差し出したわけではありません。

途中のものを、そのまま公開しました。

「よかったら、使ってみてください」
「直したいところがあれば、直してください」

その姿勢は、
すでに育っていたオープンソースの文化と、自然に重なりました。

もしソースが隠されていたら、
Linux は、ここまで広がらなかったかもしれません。

「オープンソース」は、信じるという選択

オープンソースとは、
特別な技術の名前ではありません。

それは、
人を信じるという選択でした。

誰かが、良くしてくれると信じる。
自分の小さな工夫も、誰かの役に立つと信じる。

その信頼が、
世界中のコンピュータを、静かにつないでいったのです。

次の部屋では、
この「開かれた考え方」が、
さらに大きな世界へ広がっていきます。

インターネットという、新しい道へ――。

次へつながる、小さな予告

次回、
第6回|インターネット誕生の小さな奇跡
で、また扉を開きましょう。

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この記事を書いた人

のいのアバター のい UNIX Cafe 編集部

UNIX Cafe は、むずかしい言葉をできるだけ使わず、物語を読むような気持ちで気軽に学べる場所です。
プログラミングは、アイデアをコンピューターに伝えるための「ことば」。
簡単な単語と文法を覚えることで、誰でもターミナルから便利なコマンドを使えるようになります。
コーヒーを片手に立ち寄るような気持ちで、やさしいプログラミングの世界を、
そっとのぞいてみてください。

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