
UNIX Cafe | 第41回
ネットワークの安全チェックへようこそ
ミナちゃん先生、ポートやファイアウォールのことが少しわかってきたんですが…
“今、自分のネットワークは安全なのかな?” って確かめることってできるんですか?



できるよ。今日はね、ポートの状態をやさしくチェックする方法を見てみよう。
まずは“いま開いているポート”を調べてみよう
Mac / Linux で LISTEN を確認する



ユニ先生、“LISTEN”って、入口を開けて待ってるって意味でしたよね?



そうだよ、ミナちゃん。コンピュータの世界では“どの入口(ポート)が今開いているのか”を見るのはとても大切なんだ。



入口が開いていると……外から入ってこられるってことですか?



うん。でもね、Mac や Linux では“内部用だけ”の入口もあるし、
外からは見えない入口もあるんだ。それが安全かどうかを見るために “LISTEN” を調べるんだよ。
bash
$ sudo lsof -i -P | grep LISTEN


このコマンド、見た目が難しそう……。
何をしてるんですか?
コマンドを3つに分解して説明



実は、このコマンドは 3つの動きをまとめたものなんだ。
lsof -i -P



まず lsof は、
“いま使われている通信の一覧” を全部見るコマンドなんだ。



通信の一覧……つまり、入口が使われているかどうかもここで分かるんですね!
|(パイプ)



次にこの |(パイプ)は、
左側の結果を右側のコマンドに“流す”道具なんだ。



水道みたいに、トントン…って流れていくんですね!
grep LISTEN



最後の grep LISTEN は、大量にある通信の中から “LISTEN と書かれた行だけ” を選び出すフィルターなんだ。



つまり、“入口を開けて待ってるところだけを抜き出す”ってことですか?



その通り! ミナちゃん、よく分かったね。
実行結果
bash
ControlCenter 618 noi 8u TCP *:7000 (LISTEN)


わっ!
“LISTEN” って、本当に書いてありますね。
これが開いている入口なんだ!



この表示を見ることで「どのポートが開いているか」
「どのアプリがそれを開いているか」がすぐに分かるんだ。



なるほど〜!lsof で全部の通信を見て、grep LISTEN で開いている入口だけを見つける…これなら初心者でも分かりやすいです!
nmap を使ってポートを“外から”診断する方法
nmap を使えるようにするには?



最初に nmap をインストールしよう。
macOS の場合、Homebrew でかんたんにインストールできます。
bash
$ brew install nmapnmap の基本(ローカルの安全チェック)
bash
$ nmap localhost


これって、自分のパソコンの入口がどう見えるか調べてるんですね!



その通り。
外側から見て“どのドアが開いているか”を知ることで、安全確認ができるんだ。
特定のポートだけ調べたい時
bash
$ nmap -p 22,80,443 localhost


必要なポートだけをピンポイントで確認することもできるよ。
nmap(22,80,443) の結果



結果は全て closed になっています。
bash
$ PORT STATE SERVICE
22/tcp closed ssh
80/tcp closed http
443/tcp closed https
22番(SSH)
closed → 外部から Mac に SSH で入ることはできません。
80番(HTTP)
closed → ローカル Web サーバーは動いていません。
443番(HTTPS)
closed → HTTPS で待ち受けているサービスはありません。
危険な“開きっぱなしポート”を見つけるポイント
初心者が覚えておきたい3つの判断基準
- 見覚えのないサービスが LISTEN していないか
- 本来使っていないポートが開いていないか
- 22番(SSH)が外部に公開されていないか



知らないドアが開いていないか、ちゃんと点検するんですね!
ファイアウォールで守られているか確認してみよう
Linux(UFW)の状態を見てみる
bash
$ sudo ufw statusMacのファイアウォール確認
bash
$ sudo /usr/libexec/ApplicationFirewall/socketfilterfw --getglobalstate


“許可したいものだけ通す”という状態になっていれば安心だよ。
安全チェックは“怖いもの探し”じゃないよ



安全チェックというと難しく聞こえるけれど、本当は“今どんなドアが開いているかな?” と軽く点検するだけでも十分なんだ。



毎日少しずつ、部屋を片づけるみたいな感覚なんですね!
まとめ
- LISTEN は「入口が開いて待っている状態」
- nmap で“外から見た姿”をチェックできる
- 不要なポートは閉じる=安全につながる
- ファイアウォールは最終ガード
- 定期的に「どこが開いているか」を見るだけで安心度UP



見えているポートのほとんどはね、Macが“自分の中だけ”で使っているものなんだ。外から入られないように ‘入口は閉じて’ いるから安心していいよ。



なるほど〜! 開いているように見えても、外からアクセスできないから安全なんですね!
次回予告



次は「SSHの世界へ」遠くのコンピュータと、安全にやりとりする仕組みをやさしく紹介していくよ。リモートの世界が、もっと身近に感じられるはずなんだ。







