
カフェの秘密の部屋 | 第7回
静かな研究室に並んだ“ふたつの窓”
研究室の机の上に、いくつものパソコンが並んでいます。
同じインターネットにつながっているはずなのに、
画面に映る景色は、少しずつ違って見えました。
ミナちゃん同じ世界なのに、窓が違うだけで見え方が変わるんですね。



うん。それが、ブラウザの物語なんだよ。
インターネットはひとつ。
けれど、それを見る“窓”は、時代ごとに変わってきました。
Internet Explorer が「当たり前」だった時代
1990年代後半。
多くの人にとって、インターネットを見る窓はひとつだけでした。
それが Internet Explorer です。
Windows に最初から入っていたため、
特別な選択をしなくても、誰もが同じ窓を使っていました。
この時代、
「インターネット=Internet Explorer」
という感覚は、ごく自然なものでした。
同じ窓から、同じ景色を見る。
それは安心感でもありましたが、
同時に、変化が起こりにくい状態でもありました。
そこに現れた、もうひとつの窓:Netscape
そんな中で注目を集めていたのが
Netscape Navigator です。
軽快で、自由な発想を持つブラウザ。
インターネットが広がり始めた初期には、
多くの人がこの窓を通して世界を見ていました。



この窓、なんだか風通しがいい感じがします。



そう感じた人は多かったんだ。
Netscape は、「インターネットはもっと自由でいい」
という空気を、確かに持っていました。
ブラウザ戦争と呼ばれた時代
Internet Explorer と Netscape。
ふたつの窓は、やがて激しく競い合うようになります。
- 表示の速さ
- 新しい機能
- 独自の拡張
それは、
「どちらの窓が、よりよい景色を見せられるか」
をめぐる競争でした。
この時代は後に、
ブラウザ戦争と呼ばれるようになります。
ただし、この戦いは
単なる勝ち負けの話ではありませんでした。
決め手になったのは、“標準”というルール
ブラウザが増えるにつれ、
ひとつの問題がはっきりしてきます。
窓が違うと、景色が壊れて見えることがある。
あるブラウザでは正しく表示されるのに、
別のブラウザではレイアウトが崩れる。
この混乱を解決するために重視されたのが、
HTML や CSS といった“共通ルール(標準)” でした。
「どの窓から見ても、同じ景色にしよう」
この考え方が、
ウェブを特定の企業のものではなく、
みんなの場所として守っていきます。
新しい窓が、次の時代を開く
やがて、別の窓が登場します。
そのひとつが Firefox です。
Netscape の思想を受け継ぎ、
自由と拡張性を大切にしたブラウザでした。
さらにその後、
Google Chrome が現れます。
- 速さ
- 軽さ
- シンプルさ
Chrome は、
「窓そのものの存在を感じさせない」
新しい体験を広めていきました。
窓は、今も静かに変わり続けている
ブラウザは、ただのアプリではありません。
それは、
私たちがインターネットと向き合うための視点です。
窓の形が変われば、
情報との距離感も、使い方も変わる。
だからブラウザは、
今も競争を続けながら、
少しずつ進化し続けています。
おわりに:どの窓から、世界を見るか



当たり前に使っている窓にも、こんな歴史があったんですね。



うん。その積み重ねが、今の景色をつくっている。
どの時代にも、
- 「もっと見やすく」∂
- 「もっと自由に」
世界を届けようとした人たちがいました。
その思いが、今のインターネットの“当たり前”を支えています。
次回予告



次は、窓そのものが“小さくなった日”の話だよ。
スマートフォン革命:世界がポケットに入った日
ブラウザとは、
世界を変える発明ではありません。
世界の見え方を、
少しずつ更新し続けてきた“窓”なのです ☕
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