
やさしいプログラミングの世界 | 第5回
名前が、生まれた日
くり返しが生まれ、世界は「動き」と「時間」を手に入れました。
少しずつ世界は生きもののように動きはじめています。
けれどその世界には、まだ少しだけ足りないものがありました。
それは「これは何か」「これは誰のものか」を呼び分けるための “名前”です。
名前がついた瞬間、世界はぐっと分かりやすくなります。
第5回では、プログラミングの世界に生まれる
この「名前の魔法」をやさしくのぞいていきましょう。
「これ」に名前がついた日
私たちは日常の中で、知らないうちにたくさんの「これ」を使っています。
- 「これ、持ってきて」
- 「これ、あとで使うね」
- 「これ、しまっておいて」
けれど「これ」だけでは、相手には本当は何のことか分からないこともあります。
そこで人は、自然に名前をつけます。
- 赤いノート
- 青いペン
- 机の上のカップ
名前がつくと、世界はひとつひとつ、はっきりと輪郭を持ちはじめます。
名前があると、伝えられる
「あれ」ではなく、「名前」で言えるようになる
「あれ、取って」と言われても、
人は少し困ってしまいます。
けれど「赤いノートを取って」
と言われれば、迷わず手を伸ばせます。
名前とは、気持ちや指示を正しく伝えるための、
小さな道しるべなのです。
プログラミングの世界でも、
まったく同じことが起こっています。
コンピューターに、
「これを使ってほしい」と伝えるためには、
まず、その「これ」に
名前をつけてあげる必要があるのです。
変わるものに、そっと名前をつける

昨日と今日で、ちがう数字
世の中には変わらないものもありますが、
変わりつづけるものもたくさんあります。
- 今日の気温
- 歩いた歩数
- 使ったお金
- ゲームのスコア
これらは、
昨日と今日で、同じではありません。
変わっていくものを扱うために、
人はそっと、名前をつけてあげます。
その「名前のついた入れもの」のことを、
プログラミングでは「変数」と呼びます。
世界はすこしだけ、人の言葉を覚えはじめたのかもしれません。
箱の中に、大切なものをしまう
変数はよく「箱」にたとえられます。
名前の書いてある小さな箱。
その中に、
- 数字を入れたり
- 言葉を入れたり
あとから入れ替えたりもできます。
箱に入れることで、
人は、
大切なものを、
なくさずに、
安心して扱うことができるのです。
変数は、
変わる世界を、
静かに支える、
小さな入れものなのかもしれません。
名前が生まれると、世界は会話をはじめる
名前があると、
世界は、
少しずつ、
会話をしはじめます。
- 「この数を使ってね」
- 「この言葉を表示してね」
- 「この値を、少し大きくしてね」
これは、
ただの命令ではなく、
名前を通した、
小さな会話のようなものです。
プログラムが、
少しずつ、
人の言葉に近づいてくる瞬間でもあります。
名前をつけるのは、人の役目
コンピューターは、意味を知らない
コンピューターは、
とても賢く見えますが、
実は、名前の意味を知りません。
それが「大切」なのか、
「うれしい」ものなのか、
「怖い」ものなのか。
それを決めるのは、
いつも、
人の側です。
- 名前を考え
- 意味を与え
- 役割を決める
プログラミングとは、
人の思いを、
コンピューターに伝わる形へと、
そっと翻訳していく作業なのかもしれません。
名前があると、変化を計算できる
名前がついた瞬間、
世界の中に、
- 「比べられるもの」
- 「動かせるもの」
が生まれます。
数は、
- 増えたり
- 減ったり
形を変えたりします。
変数があることで、
その変化を、
追いかけることができるようになります。
次の章では、
この「変わる数」を使って、
世界をどう動かしていくのかを、
やさしく見ていきましょう。
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