
やさしいプログラミングの世界 | 第1回
メモリーに刻む、プログラミング最初の一歩
コンピューターの中には、私たちがふだん目にすることのない、
小さくて静かな“メモリーの世界”があります。
そこは、まだ何も描かれていない、真っ白なキャンバスのような場所です。
ある日私は、はじめて自分の言葉をコードにして、
その白いキャンバスにそっと線を引きました。
ほんとうに短い一行だったのに、
画面の向こうでは、小さな世界がふわりと動きはじめたのです。
たった一行で、風景が描かれ、しくみが生まれ、
コンピューターは私の“意思”を受け取ってくれました。
初めてそのことに気づいたとき、
数字と文字だけでできたこの世界が、
どこか温かく、すこし身近に感じられたのを覚えています。
プログラミングは、むずかしい魔法ではありません。
私たちの思いを“形”にしてくれる、ひとつのコミュニケーションなのです。
描いた線が、意味を持ちはじめるとき

プログラムを書くという行為は、
コンピューターに「こうしてほしい」という思いを伝えることから始まります。
その思いは、一行の文字としてメモリーに刻まれ、
ゆっくりと形を変えながら動きとなって返ってきます。
たとえば、
「数字を足してほしい」
「メッセージを表示してほしい」
そんな小さな願いごとも、コードとして渡せば、
コンピューターはその通りに動いてくれます。
はじめてその仕組みを知ったとき、
私は少し感動しました。
コンピューターは複雑な計算をする機械だと思っていたのに、
その本質は意外なほど素朴で、
まるで“ことばで通じ合う”ような関係だったからです。
コードを書くたび、
メモリーの中には新しい線が生まれ、
小さな風景が少しずつ描かれていきます。
その風景は、命令を重ねるほど広がり、
やがて私の思いを支えるひとつの仕組みへと育っていきます。
「描く」という行為は、ただ画面に文字を並べるだけではありません。
そこには、
“なにをしたいのか”
“どう動いてほしいのか”
という、私自身の考えが映し出されています。
コードとは、思いを形にするための小さな設計図なのです。
そして、コンピューターはその設計図を読み取り、
正確に、静かに動いてくれます。
決して迷わず、ためらわず、
渡された思いに応えるために、ただひたすらに働いてくれます。
こうして人とコンピューターは、
一行のコードを通して少しずつ理解し合い、
お互いの世界を広げていきます。
それはまるで、小さな会話を積み重ねながら
信頼関係を育てていくような感覚です。
私はこの日、
真っ白なメモリーに描いた小さな線が、
やがて大きな仕組みへとつながっていくことを知りました。
その気づきはとても静かで、
けれど心の奥に長く残る大切な瞬間でした。
線と線が結びつき、意味が生まれる場所へ
一行のコードを描けるようになると、
次に気になるのは
「どんなふうに世界が広がっていくのか」
ということでした。
メモリーの中に線を描くとき、
その線はひとつでは終わらず、
次の線へ、さらに別の風景へとつながっていきます。
そのつながり方には、
コンピューターならではの“論理”というルールがあり、
それを知ることで世界は一段と立体的に見えはじめます。
次の章では、
この“論理の世界”へそっと足を踏み入れます。
人が描いた一行のコードが、
どのように意味を持ち、
どのように道となり、
コンピューターの中でひとつの物語を形づくっていくのか。
その最初の扉を、ゆっくり開いてみましょう。
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